インド株が注目されているみたいですね。
なんでだろう?
インドは経済が急成長していることもあって、今後期待できる投資先として注目されているんだ。
世界経済の中でも目覚ましい成長を遂げているインド。
中国、インド、ブラジルをはじめとする、新興国市場は今後の世界経済を担う大きな存在として無視できないものとなっています。
今回は、投資先としても圧倒的な人気を誇る、インドの急成長に焦点を当てていきます。
株価もコロナショックの影響で暴落したものの、2021年には最高値を更新するなど、成長の勢いは止まるどころか、さらに加速しています。
また、人口も増加しており、2027年には中国を抜いて、世界一位になると言われています。
人口と経済成長は密接な関係があるため、人口が増えれば、経済も成長していくと期待できるでしょう。
今回は、急成長するインド株の動向、注目銘柄や問題点を解説していきます。
インドのこれまでの株価の動きをみるために、インド市場全体の動きがわかる指数を使います。
日本の株価の動きを見る時によく使われるのが、「日経平均株価」ですよね。
これと同じようにインドにも「SENSEX」という指数があります。
この代表的なSENSEXを使って、インド株の動きをみていきましょう。
SENSEX指数とは、インド株式市場の代表的な株価指数です。ムンバイにあるインド共和国最大のボンベイ証券取引所(Bombay Stock Exchange)に上場する銘柄のうち、流動性、取引規模、業種などを代表する30銘柄で構成される時価総額加重平均指数
2012年には15,000INR(インドルピー)だったのが、2021年には50,000INRを超えています。
直近の10年ほどで、株価が3倍ほどにまで成長していることがわかります。
2020年に入ってからコロナショックの影響で40,000INRから28,000INRくらいまで下がりました。
ですがその後、株価が回復していき、2021年には50,000INRを超えるまでになりました。
その後、再び、株価が下落しています。
2021年1月下旬からインド市場だけでなく、中国などアジア市場全体が一時的に下落トレンドに入りました。
これは、一部の銘柄が不安定な値動きを見せた米国市場から、株価の調整が懸念されたことが要因と考えられます。
さらに、景気悪化や株式バブルも警戒され、一週間ほど下落が続きました。
しかし、その後は上昇し、現在、54,000INRを超えています。
全体として見ると、下落や停滞を見せながらも、上昇トレンドは続いていると言えるでしょう。
インドの注目銘柄を3つに分けてご紹介していきたいと思います。
・銀行業
・IT・ソフトウェア業
・自動車
以下、詳細です。
銘柄名 | ティッカー |
HDFCバンク | HDB |
ICICIバンク | IBN |
銀行業ではHDFCバンクやICICIバンクが挙げられます。
この2つはインドを代表する商業銀行です。
HDFCバンクは住宅ローンのほか個人向け融資、法人および機関投資家向け融資を中心に行っています。
対してICICIバンクは投資情報サービスの提供、仲介業、生命・損害保険業などに従事していることが特徴です。
どちらも急成長中の企業ですので、期待の投資先の候補に挙がるでしょう。
銘柄名 | ティッカー |
インフォシス | INFY |
サイファイテクノロジーズ | SIFY |
ウィプロ | WIT |
近年、インドで目覚ましい成長を遂げているのがIT・ソフトウェア業界です。
インフォシスは世界有数のITコンサルティング・ビジネスコンサルティング・テクノロジー・エンジニアリング・アウトソーシング・ソフトウェア開発企業。
日本ではあまり知られていませんが、世界屈指のIT企業です。
サイファイテクノロジーズはEコマースやポータルサイト運営、ネットカフェなど幅広いサービスを提供しています。
ウィプロはソフトウェア開発、コンサルティング、アウトソーシングなどに従事するIT企業。
インドの中でも最も歴史のあるIT企業で日本にもウィプロジャパンがあることから、知っている人もいるかと思います。
銘柄名 | ティッカー |
タタ・モーターズ | TTM |
タタ・モーターズはインドの3大財閥ビルラ、リライアンス、タタのタタグループ内の主要企業の一つで商用車で高いシェアを誇る自動車メーカーです。
以上のように様々な分野で活躍している企業があることから、今後も成長が期待できるといえます。
インド株の今後の見通しをしていきます。
インド株は今後、期待できる投資先と言えるでしょう。
その理由は主に2つです。
・人口が増え続けているから。
・GDP成長率が高いから。
それぞれ詳しくみていきましょう。
インドは人口が増え続けています。
人口と経済の成長はリンクしているため、今後経済も成長すると予想されます。
インドの人口は19年の13億6641万人から30年には15億364万人、50年には16億3917万人まで増える。一方の中国は19年時点では14億3378万人と世界で最も多いが、30年代に入ると中国の人口が減少に転じ始める。今後10年以内に印中の人口は逆転する見通しだ。
日本経済新聞 変わる人口地図(5)―インド、2027年に人口世界1に
人口増加の要因として、乳児死亡率の低下が挙げられています。
乳児死亡率が低下しているということは、今後も乳児が健康に成長する可能性が高いということです。
このことから、今後もインドの人口は増加していくと予想されます。
これからも、インドは人口増加、労働力の増加によって、高い経済成長率を維持していくと考えられます。
GDPの成長率が高いインドは今後も経済が成長していくと考えられます。
インドは少なくとも2021年〜2025年はGDPが成長すると見られています。
IMFが発表したデータによると実質GDP成長率(赤線)は2025年には2015年と同水準に回復すると予想されています。
今後も成長が期待できるインドに引き続き注目が集まることでしょう。
残念ながら、日本から直接、インド株は購入するのは難しいです。
インド市場は外国人投資家が直接投資するには現地の証券口座を開設する必要があるのでハードルが高いです。
そのため、個別株に投資したい場合は、ADR(米国預託証券)として米国市場に上場している株を購入することになります。
ADRとは、American Depositary Receiptの略。米国預託証券とも言われる。
米国で発行される有価証券で、米国以外の国で設立された企業が発行した株式を裏付けるものとして扱われる。
株式の裏付けとなり、経済的権利を含んでいる有価証券のため、株式を持っているのとほぼ同じ効果を得ることができる。
楽天証券を例にADRを購入できる銘柄をまとめてみました。
業界 | 銘柄名 | ティッカー |
医薬品 | ドクターレディーズラボラトリーズ | RDY |
金融 | HDFCバンク | HDB |
金融 | ICICIバンク | IBN |
ソフトウェアサービス | インフォシス | INFY |
ネットワーク | サイファイテクノロジーズ | SIFY |
自動車 | タタモーターズ | TTM |
通信サービス | タタコミュニケーションズ | TCL |
ソフトウェアサービス | ウィプロ | WIT |
先ほどご紹介した銘柄がすべて購入可能であることがわかります。
成長している業界が網羅されていて偏りがないというのも嬉しい点です。
楽天証券を例に購入できるETFをまとめてみました。
ティッカー | 銘柄名 | 連動指標 | 市場 |
02836 | iシェアーズS&P BSEセンセックス・インディア・インデックスETF | S&P BSE Sensex インデックス | 香港 |
03015 | db xトラッカーズ ニフティ50 UCITS ETF | S&P CNX ニフティ | 香港 |
EPI | ウィズダムツリー インド株収益ファンド | ウィズダムツリー インド・アーニングス・インデックス | NYSE Arca |
INDL | Direxion デイリー インド株 ブル3倍 ETF | インダス インディア指数 | NYSE Arca |
インド市場全体に投資したい人や、ADRでは購入できない銘柄に投資したい人にはETFがおすすめです。
ETFなら幅広い銘柄に分散して投資できるため、リスクを抑えたい人もETFで運用するといいでしょう。
個別株に比べて高いリターンは期待できませんが、比較的安定した運用を目指す方に向いています。
インド市場の代表的な指標である、SENSEX(S&P BSE Sensex インデックス)やNIFTY 50(S&P CNX ニフティ)に連動しているETFもあります。
今後も全体が成長すると見込まれるインド市場にバランスよく投資するならETFをうまく活用しましょう。
経済成長を続けるインドですが、課題もあります。
・財政赤字
・貧富の差
それぞれ詳しくみていきましょう。
インドは慢性的な財政赤字が続いていると言われています。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(以下MUFG)によれば、GDP対比の財政赤字が新興国平均よりもかなり高いことが指摘されています。(経済レポート インドの経済動向)
また、Bloomberg Quintが2021年2月に公表したデータによるとインドではコロナショックにより、2020年にインドの財政赤字は1991年以来の最大となっています。
インドでは1990年に経済危機が起こり、1991年に自由化政策が行われました。
その1991年と同水準の赤字ということで非常に危険な状態にあることがわかります。
なお、2021年には9.5%、2022年には6.8%に落ち着く見込みです。
インドの財政赤字は回復に向かう見込みですが、油断できない状態です。
成長している反面、このようなリスクにも目を向けておく必要があります。
ハイリターンだからといって手放しで喜んで闇雲に投資するのは危険です。
正しい知識をつけた上で投資することが大切です。
依然として貧富の差が残るインド。
今までお話ししてきたインドの成長とは裏腹に未だ貧富の差は残っています。
急成長を遂げる一方で、一部の人間が富を手にし、貧しい人との差も広がっているのです。
Oxfam International(オックスファム・インターナショナル)の記事によると、インドでは過去30年間で貧富の差が広がっているとのことです。
インドの77%の富はわずか10%の人々が持っており、2017年に関しては、上位1%の人が73%の富を財産として持っているそうです。
そして貧しい6700万人の人々は変わらず貧しいままでした。
インドの格差社会はSDGsやESGの観点からはマイナスに捉えられるので、よく考えて投資しましょう。
インドは今後も人口が増加していく可能性が高いので、労働力が増え、経済成長を続けていくことが見込まれます。
一方で、財政赤字や貧富の差などの問題も無視できません。
急成長しているため、大きなリターンを期待して安易に投資すると、思わぬ損失を被るかもしれません。
リスクを理解した上で、投資するのがいいでしょう。
まずは安定した運用ができるETFに投資してみたり、少額から投資してみるのがおすすめです。
正しい知識と経験を積みながら、徐々に大きく投資するようにしましょう。